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喫煙と循環器病リスク【医師監修】

循環器病とは

循環器とは、血液やリンパ液を循環させるための仕組み、つまり心臓や血管のことです。循環器の病気には以下のようなものがあります。
・動脈硬化
・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
・脳梗塞
・高血圧
・不整脈
・心臓の弁の病気
・心臓を包む膜や心臓の筋肉そのものの病気:心内膜炎、心筋炎、心臓移植の対象となる拡張型心筋症・肥大型心筋症など
・生まれつきの心臓の奇形

動脈硬化とは、「動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きがわるくなる病変」の総称です。
動脈硬化により心臓、脳といった重要臓器に血液を送る血管に問題が生じると、虚血性心疾患や脳梗塞の原因になります。虚血性心疾患とは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送るための冠動脈に問題が起こることにより、心臓の筋肉に血が足りなくなり(虚血)生じる病気で、狭心症、心筋梗塞などがあります。また、足に血液を送る血管が詰まる閉塞性動脈硬化症や閉塞性血栓血管炎という病気もあります。

喫煙と循環器病の関係とは

循環器病のうち、喫煙と特に関係が深いのは動脈硬化と虚血性心疾患です。喫煙の本数が多いほど、期間が長いほど動脈硬化疾患のリスクが高くなると言われています。
では、タバコはどのようにして動脈硬化を引き起こすのでしょうか。喫煙によりニコチンをはじめとする様々な化学物質が体内に入ります。喫煙者は血中のLDL(悪玉)コレステロールが多いとされています。タバコの化学物質は血管の内側の細胞を傷つけ、傷ついたところに血液中のコレステロールが入り込みます。そこに血小板が取りつき、血管内腔に飛び出したようなできものを作り、血管を狭くします。これが動脈硬化です。

また、タバコに含まれるニコチンは副腎に作用し、アドレナリンやノルアドレナリンという興奮物質を分泌させ、血管を縮めます。すると心拍数が増加し、心臓の筋肉の負担が増えます。このようなときに、心臓に血液を送る冠動脈が動脈硬化や興奮物質の作用によって狭くなっていると、心臓の筋肉に十分な血液が届かなくなり、痛みが生じます。これが狭心症です。

さらに悪化して冠動脈が詰まり、心臓の筋肉が一部死んでしまうと心筋梗塞となります。また、タバコに含まれる一酸化炭素は、酸素を運ぶ作用をしている血液中のヘモグロビンと結びつきやすく、同じ血液であっても酸素を有効に運べない血液になってしまい、虚血性心疾患を起こりやすくします。
タバコを吸わない人に比べ、喫煙者は虚血性心疾患に3倍なりやすいと言われています。心筋梗塞については、一日の喫煙本数が1~14本だとリスクが3.2倍、15~34本だと3.6倍、35本以上だと4.4倍と、量が増えるごとにリスクも増えることが分かっています。

また、喫煙者は非喫煙者よりも虚血性心疾患による突然死が4倍も多いとされています。突然死は複数の冠動脈が広範囲にわたって狭くなっている場合や、不整脈がある場合、心臓の弁に異常がある場合や、生まれつきの心臓の奇形がある場合に起こりやすくなります。特に心臓にもともと病気がある人は禁煙を徹底すべきと考えられます。

虚血性心疾患以外で喫煙と関係が深い循環器病として、閉塞性血栓血管炎(バージャー病、ビュルガー病)があります。これは40歳以下の男性喫煙者に多く、両足のひざ下の血管が炎症を起こしつまる病気で、足の痛み・冷たい感じ・しびれ・痛みのあまり歩けないといった症状が現れます。指が血行不良で腐ってしまい、指や足を切断せざるを得ない場合もあり、「タバコ一本、指一本」と言われる病気です。

受動喫煙と循環器病の関係とは

受動喫煙によって、心筋梗塞の死亡率が1.3倍になるとされています。受動喫煙を受ける人のうち、1~3%が受動喫煙による心筋梗塞で死亡すると言われています。

タバコをやめれば循環器病のリスクを軽減できる?

虚血性心疾患について、禁煙を1~2年続けると、リスクは半分程度に低下するとされています。禁煙を10~15年続けないとリスクが半分に減らないと言われている肺がんに比べて、虚血性心疾患は禁煙によるリスク低下効果が速やかに得られると言えます。

<参考>
・国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス「動脈硬化」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph21.html
・中外医学社「健診・人間ドックハンドブック」
・日本循環器学会 禁煙推進委員会「能動喫煙と喫煙関連疾患」
http://www.j-circ.or.jp/kinen/iryokankei/eikyo.htm
・喫煙科学研究財団「喫煙と循環器疾患」
http://www.srf.or.jp/histoly/frames/history-frame05.html


カテゴリー : 喫煙と健康

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